大分県豊後高田市には66ヶ所の古墳が所在しており、入津原丸山古墳や真玉大塚古墳といった県下でも屈指の規模を有する古墳や、鬼の伝説が残る雷鬼の岩屋古墳など特徴的なものがあります。多くの皆様にも知っていただけるよう、このたび市内の古墳のパンフレットを作成しました。
豊後高田市役所の各庁舎(高田・真玉・香々地)などで配布している他、市ホームページ上ではPDF版も公開しています。ぜひパンフレットを片手に、市内の古墳を巡ってみてください。
豊後高田市の代表的な古墳
入津原丸山古墳
入津原丸山古墳遠景
入津原丸山古墳は、円丘部の径は約70m、高さ約10m、神や祖先を祀るための施設とされる「造出(つくりだし)」(長さ約7m、幅約23m)を伴った長径約77mの帆立貝形古墳です。1901年に発掘調査が行われた際に鏡、革綴短甲、玉類、滑石製品などの副葬品が発見されています。
真玉大塚古墳
真玉大塚古墳墳丘測量図(大分県教育委員会(1998)『大分の前方後円墳』より)
墳長約100m、二重にめぐらされた外濠まで含めると全長135mとなる真玉大塚古墳は大分県下でも屈指の規模を持つ前方後円墳です。築造当時は段丘の突端まで海が迫っていたと考えられており、海から見た姿を強く意識した古墳であったことがわかります。
猫石丸山古墳
猫石丸山古墳空中写真(平成8年度調査当時)
猫石丸山古墳は墳長約65mの前方後円墳で、周辺には横穴式石室墳である花仕切古墳群が所在しています。1996年に行われた調査で多く発見された円筒埴輪の中には、基底部が長い「嘉穂型」(福岡県遠賀川流域)の特徴が認められるため、外来工人による技術の伝播が指摘されています。
雷鬼の岩屋古墳
雷鬼の岩谷古墳 石室入口現況
石室の全長7.3m、玄室(奥室)の奥行2.8m、幅2.4m、天井高2.4mを持つ雷鬼の岩屋古墳は市域に現存する最大規模の複室構造の横穴式石室を持つ古墳です。開口した石室を見た人々が「鬼が棲む」と噂したことから「鬼の岩屋古墳」と呼ばれています。パンフレット表紙の写真は雷鬼の岩屋古墳の石室です。
「ぶんごたかだ文化財ライブラリー」シリーズのバックナンバー
「ぶんごたかだ文化財ライブラリー」では、豊後高田市内の文化財をテーマ毎に取り上げて分かりやすく紹介しています。これまでにも『豊後高田の城跡』、『豊後高田の磨崖仏』を刊行していますので、ぜひ併せてお読みください。
◆「ぶんごたかだ文化財ライブラリー」一覧
Vol.1『豊後高田の城跡』 平成31年 3月刊行
Vol.2『豊後高田の磨崖仏』 令和 2年 2月刊行
Vol.3『豊後高田の古墳』 令和 2年12月刊行 <新刊>