日本遺産『鬼が仏になった里「くにさき」』で取り組んできた事業について振り返る一里塚(マイルストーン)として、2022年の事業成果、認定時に立てた地域活性化計画の達成度(5年目)などについてご報告いたします。
■過去のマイルストーン(関連リンク)
・日本遺産くにさきのマイルストーン(2018-2020)
・日本遺産くにさきのマイルストーン(2021)
2022年度の事業総括
2021年度から3年間は内閣府の地方創生推進交付金を活用し、更なる情報発信、収益・自走化に向けた取組を行います。事業は「①組織・人材育成」「②調査研究」「③施設整備」「④情報発信・普及啓発」「⑤収益化・自走化」の5項目に分かれています。
2022年度は3年間の計画の2年目。「⑤収益化・自走化」に向け、2021年の成果を活用しながら、未来に向けて情報発信に必要な整備をいくつか実施しました。
今後、収益化・自走化に向けての短期及び中長期の目標達成のための要となる年と位置付けて、旅行予約システムの導入、それぞれの谷での商品開発(旅行・食品)を行い、各谷の持続性向上、協議会の自走化に繋げるための取組を重点的に行いました。
①組織・人材育成
日本遺産くにさきの取組を持続可能にするため、計13回の担当者会議(オンライン含む)を開催し、情報共有に努めました。地域プレイヤーの見出しについても、体験プログラムのインストラクターを中心に実施しています(真玉谷・香々地谷・国見谷・来浦谷エリアで重点的に実施しました)。
開発した旅行商品の売り手となる団体の見出しについて、途中、振り出しに戻るなどのアクシデントがありましたが、引き続き粘り強く検討していきたいと考えています。
②調査研究
豊後高田市教育委員会、国東市教育委員会では、国東半島の文化財をよりブラッシュアップするための調査を実施しています。
また、2022年度には、国東市武蔵町の「吉弘楽」が、風流踊としてユネスコ無形文化遺産に登録されました。
吉弘楽(ユネスコ無形文化遺産)
③施設整備
日本遺産くにさきのPRブースを目立たせるためのイージーアップテントを作成しました。テント自体が文化財(富貴寺大堂や天念寺講堂、両子寺や峯入り)のイメージでデザインされています。各所で開催されるイベントでの使用を行ってまいります。
2021年度に完成した「長岩屋鬼会交流センター(鬼の館)」について、地域住民の交流や、地域の活性化などに資する取組がいくつか開始されました。
「両子寺・峰入り」Ver.(内観・側面)
「修正鬼会(国東市)」Ver.(内観)
「富貴寺大堂」Ver.(内観)
「天念寺講堂」Ver.(内観)
「天念寺講堂」Ver. の外観(背面・側面)
イベントでの使用状況
④情報発信・普及啓発
2022年度は、日本遺産くにさきの旅行商品に関する実販売をネット上で行えるように、ホームページの改修を実施しました。先述の通り、運営組織の調整が残っているため、アップロード・運営開始まではもう少し時間がかかりますが、より自由度の高い体験・旅行商品を販売できるようになります。
また、YouTubeなどのサイトにて、動画形式でのPRを実施するため、Vtuberのプロデュース・素材作成を行いました(まだデビュー前のため、このページには内容は掲載いたしません)。3Dモデルを活用した新しい文化財/地域の発信を行う予定としておりますので、デビューをお待ちくださいませ。
普及啓発に関して、日本遺産に関する文化財講座(学生対象:7回/一般対象:7回)を開催しました。また、引き続き別府大学における授業でも、日本遺産について取り扱わせていただきました。
2022年度には、豊後高田市で開催された温泉科学会の全国大会や、大阪府泉佐野市で開催の全国荘園サミットでの取組報告も行いました。
また、国東市ではシビックプライドの醸成のためのカリキュラム「くにさき学」をスタートさせ、『「くにさき学」まるわかりガイドブック』を刊行しました。日本遺産に関する内容も掲載され、今後、学校現場での日本遺産くにさきの普及啓発を一層推進します。
小中学校の現地見学会の様子
現地視察の様子
温泉科学会大会での報告
「くにさき学」テキストの日本遺産開設ページ
⑤収益化・自走化
2022年度も、「A鬼の幸(地元特産品)の開発・販売」と、「B文化財グッズの開発・販売」、「Cクラウドファンディングの運営」に重点的に取り組みました。
2022年度は「Aの鬼の幸の開発」に重点的に取り組みました。既に完成して、販売している商品もありますが、デザイン制作やフロー支援がまだ課題になっている商品もあります。
■鬼の郷のかぼすと実山椒の生七味(完成・2023年 月販売開始)
■日本酒 田染の夕 窓の月(完成・2023年4月販売開始)
■赤鬼ケジャン・黒鬼ケジャン(完成・製造フロー支援中)
■くにさきクラフトジン(デザイン制作・フロー支援へ)
■海のレッドカレー・山のグリーンカレー(デザイン制作・フロー支援へ)
■蟹出汁ブイヨン・海老ブイヨン(フロー支援・二次加工へ)
また、2021年度に開発事業を行った「鬼の郷のしあわせもちもちそば粉ガレット」「国東半島マテ貝醤油・うに醤油」「国東幸飾 鬼棚」については、それぞれ実販売を始めました。
「B文化財グッズの開発」では、「てんてんのぬいぐるみ」の開発を行いました。販売だけでなく各PRブースやTwitterなどでも活躍しています。
「Cクラウドファンディングの運営」については、新規に4件のプロジェクトの企画・運営をしました。
■国東半島の美しい海を守り伝えたい!うに・マテ貝の醤油づくりプロジェクト
■豊後高田市の鬼灯を長く飾ってもらえる贈り物にしたい!国東幸飾 鬼棚プロジェクト
■遠くからでも【天念寺修正鬼会】を応援しよう2023
■銘酒「窓の月」を復刻し、田染荘の景色を伝えたい!田染荘日本酒プロジェクト
鬼の郷のかぼすと実山椒の生七味
日本酒 田染の夕 窓の月
赤鬼ケジャン(手前)・黒鬼ケジャン(奥)
鬼の郷のしあわせもちもちそば粉ガレット
国東半島マテ貝醤油・うに醤油
国東幸飾 鬼棚
てんてんのぬいぐるみ
景色と一緒に撮影した写真をSNS等で使用
総会資料(実績部分)
谷々のレポート(エリアブランディングの取組まとめ)
日本遺産くにさきでは、すぐれた文化財を持つ小さな地域を「谷」としてエリア分けし、11の「谷」が持続可能な状態となるようにエリアブランディング及び観光事業化に取り組んできました。
初動から4年が経過し、取組も多岐にわたっておりますので、「取組の意味を把握しづらい」「取組の全貌が掴みづらい」というご意見をいただく機会が増えました。そこで、日本遺産くにさきが「谷」毎に取り組んでいる事業についてまとめたミニレポートを別途作成いたしました。
定量的成果と課題
①入込客数
六郷満山寺院の入込客数を指標として計測しています。2020年から続く新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、2022年の入込観光客数も減った状態で推移しました。
ただ、2022年度においては一部の寺院に関して、観光客の入りが戻り始めたり、独自の取組によって観光客を取り戻した寺院もあるなど、明るい方向性も確認できました。
◆六郷満山寺院(富貴寺・真木大堂・熊野磨崖仏・長安寺・天念寺・両子寺・文殊仙寺・瑠璃光寺の合計)
〔目標〕2023年:309,400 人
〔2017 基準値〕 238,000 人
〔2018 実績値 (目標値)〕 316,232 人(249,900人)〔前年比 +32.8%〕
〔2019 実績値 (目標値)〕 241,575 人(261,800人)〔前年比 -23.7%〕
〔2020 実績値 (目標値)〕 164,506 人(274,900人)〔前年比 -31.9%〕
〔2021 実績値 (目標値)〕 142,651 人(288,600人)〔前年比 -13.3%〕
〔2022 実績値 (目標値)〕 191,027 人(303,000人)〔前年比 +33.9%〕
◆鬼会の里歴史資料館
〔目標〕2023年:5,000 人
〔2017 基準値〕 2,200 人
〔2018 実績値 (目標値)〕7,076 人(2,500人)〔前年比 +221.6%〕
〔2019 実績値 (目標値)〕8,171 人(3,000人)〔前年比 +15.4%〕
〔2020 実績値 (目標値)〕3,153 人(3,500人)〔前年比 -61.4%〕
〔2021 実績値 (目標値)〕3,223 人(4,000人)〔前年比 +2.2%〕
〔2022 実績値 (目標値)〕3,920 人(4,500人)〔前年比 +21.6%〕
②ホームページの閲覧数等
日本遺産特設ホームページやSNSの更新を継続実施しています。
クラウドファンディングの運営について、2022年度は注目されるプロジェクトを運営できたことで、昨年度よりPV数を伸ばすことができましたが、目標のKPIには届きませんでした。
2023年度は予約サイトの運営開始などがありますので、一層のPRの強化が必要です。
◆特設ホームページ(ONIE.JP)の閲覧数
〔目標値〕2023年度 150,000view 〔当初の目標〕2023年度:30,000viewを維持
〔2018 実績値(目標値)〕 9,842view(3,000 PV) ※2 /8~
〔2019 実績値(目標値)〕 43,304view(30,000 PV)
〔2020 実績値(目標値)〕 68,553view(30,000PV) 〔前年比 +58.3%〕
〔2021 実績値(目標値)〕 67,810view(80,000PV) 〔前年比 -1.1%〕
〔2022 実績値(目標値)〕 81,707view(115,000PV)〔前年比 +20.4%〕
◆公式SNS(Facebook+Twitter+Instagram)のファン数
〔2018 実績値〕330+9+0=339FANs
〔2019 実績値〕627+51+253=931FANs
〔2020 実績値〕815+125+405=1,345FANs
〔2021 実績値〕983+199+532=1,714FANs
〔2022 実績値〕1049+375+588=2,012FANs
③協議会の収入
日本遺産の取組は、その一部を収益化して、自走的な取組を推進することが必要とされています。
2022年度は鬼の幸・文化財グッズの開発・販売を、推進してきました。前年度との違いは、いくつかの鬼の幸(厳選特産品)が完成し実販売に移ったことで扱う商品の種類が増えました。今後は一層の新しい販路開拓等が重要になってきます。
協議会の収入額自体は過去最多となりましたが、新KPIの達成には至りませんでした。文化庁の最終KPI(2023)の数字は既に大きく突破しました。
◆日本遺産くにさきの収入
〔目標値〕2023年度:6,000,000円 〔当初の目標〕2023年度:1,580,000円
〔2018 実績値(目標値)〕0円(900,000円)
〔2019 実績値(目標値)〕約950,000円(990,000円)
〔2020 実績値(目標値)〕約1,200,000円(1,090,000円)〔前年比 +26.3%〕
〔2021 実績値(目標値)〕約1,470,000円(2,200,000円)〔前年比 +22.5%〕
〔2022 実績値(目標値)〕約2,440,000円(3,700,000円)〔前年比 +66.6%〕
◆国東半島リトリートツーリズムや教育旅行の体験プログラム購入者数
〔目標値〕2023年:500人/年
〔2020 実績値〕0人/年
〔2021 実績値(目標値)〕123人/年(50人/年)
〔2022 実績値(目標値)〕304人/年(200人/年)〔前年比 +147.2%〕