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「穴井戸観音」が国の登録記念物(名勝地関係)に登録されます!

更新日2024年12月20日

田染真中にある洞窟で、水や信仰に関する民話・伝説が多く残る穴井戸観音について、令和6年12月20日に国の文化審議会より、国の登録記念物(名勝地関係)に登録するに相応しい旨の答申がありました。
同登録で「洞穴」に関する名勝地が対象になるのは全国初になります。

穴井戸観音について

豊後高田市の南側、田染小崎・田染真中の境界にもなっている「間戸ン岩」の田染真中側にある洞穴に作られた霊場が「穴井戸観音」です。洞穴は、深さ20メートル、幅は広い所で13メートル、高さは手前崩落部分で約4メートル、穴井戸観音前で1.5メートルほどの大きさで、洞窟の前方には薬師堂という御堂が建てられています。
中世には六郷満山の間戸寺と呼ばれる寺院に関連する行場とされ、江戸時代には朝日山岩屋と呼ばれ、峯入りの札所となっていました。「六郷山百八十三所霊場記」によれば、当時は松明を集落で貰って明かりを灯していたようです。

穴井戸観音の民話について

穴井戸の話

穴井戸観音の洞窟の中にある「穴井戸」は、かつては水で満たされていました。
穴井戸は深くて底が見えず、村人が不思議に思って、穴井戸に竿を指してみましたが、いくつも竿をつなげても底に着くことはありません。

ある日、間戸の子どもがニワトリを追いかけていたら、穴井戸に逃げ込んでしまい、見つからなくなってしまいました。
しかし、翌朝、そのニワトリが豊後高田市玉津の権現の鼻(ゴンゲノハナ)で大きな声で鳴いたことが見つかり、穴井戸は玉津の海までつながっていると言われるようになりました。

その更に昔に、穴井戸で釣りをした恵比寿様が大きな鯛を釣り上げたこともありましたが、その鯛は薬師堂の上に石になって残っています。

穴井戸

権現の鼻の付近 港がある辺り

洞窟について建てられた薬師堂(上部に鯛石)

濡れ観音の話

穴井戸観音の洞窟の一番奥に、一年中水がしたたり、どんなに日照りでも乾くことがない「濡れ観音」があります。
濡れ観音の上部からは、常に水が滴っていますが、この水はかつて六郷満山をおつくりになった仁聞菩薩が修行をしたときに、喉を潤した水とされています。

そのことから、この水を「仁聞の隠れ水」といって、昔から頭につけると知恵がつくといわれています。

※国東半島では、観音様は水の信仰がある場所によく置かれており、穴井戸観音も水に対する信仰の拠点となっていました。

濡れ観音

洞窟内部の様子

鬼封じ込め跡の話

昔、間戸村の付近には、村人が育てた作物を食べてしまう悪い鬼がいました。
困った村人が六郷満山寺院・間戸寺の僧侶に鬼退治を頼んだところ、村人たちに松の木でたき火をするように言われました。

鬼がいつものように作物を取ろうとすると、たき火のせいでけむたい。
村人はたき火の煙をつかって鬼を間戸寺へと追いやります。

間戸寺の僧侶はたいまつを持って、鬼を穴井戸観音に追いやります。
そして、鬼は仏の力を怖がって石段で立ち止まってしまいます。
すかさず僧侶はたいまつを使って、鬼を大岩の下にふすべ込んでしまいました。

これが現在も残っている鬼封じ込め跡とされています。

穴井戸観音 名勝調査報告書について

豊後高田市教育委員会では、名勝地「穴井戸観音」の意見具申にあたって、当該地区の風致景観についてまとめた調査報告書を作成しました。

現在、報告書を刊行する予定はありませんので、以下のリンクよりダウンロードしてご参照ください。

【関連リンク】豊後高田市の国指定名勝・国登録名勝など