「くにさき」を代表する文化財の1つに磨崖仏があります。自然の中につくられた御仏の姿はどれも美しく、力強くもあります。豊後高田市内には20箇所近くの磨崖仏がつくられており、仏像の数にして80体ほどになります。
以前より、市内の磨崖仏について詳しく知りたいという声が多くありましたので、このたびパンフレットとしてまとめさせていただきました。
豊後高田市役所の各庁舎(高田、真玉、香々地)などで配布しております。ぜひパンフレットを片手に、豊後高田市の磨崖仏をめぐってみてください。
表紙と中身
日本遺産にも登場する磨崖仏たち
熊野磨崖仏
(左)不動明王像、(右)大日如来像
熊野磨崖仏は、豊後高田市の南端にあたる田染平野に位置する磨崖仏です。磨崖仏にいたるには"鬼が築いた石段"という自然石を乱積みした石段を登る必要がある修行場です。
大分県内でも最古の大日如来像は平安後期の作、高さ7mほどで柔和な表情や螺髪が見どころです。一方、不動明王像は鎌倉時代の作とされ、8mを超える巨像で、その柔和な表情に癒されます。
鍋山磨崖仏
鍋山磨崖仏は田染上野に位置する磨崖仏です。鍋山というのは川を挟んだ対岸にならぶ岩山のことで、一帯も大変険しい地形になっています。
高さ2.3mほどの不動明王三尊像は平安~鎌倉時代の作とされ、表面は風化で見づらくなっている部分もありますが、真木大堂の不動明王像に似た優美な姿をしています。
元宮磨崖仏
田染中村の元宮八幡神社の境内にある御鷹山と呼ばれる小さな岩山に磨崖仏が彫られています。全体として高さ2m~1.5mほどの像が集まっており、神社の祭神と関係性が深いと考えられています。南北朝時代から室町時代の作と考えられています。
川中不動
天念寺の前を流れる長岩屋川の中に高さ2.7mの不動明王の磨崖仏が佇んでいます。川の中にあることから"川中不動"と呼ばれ、暴れ川であった長岩屋川を鎮めているともされています。
像上部にある穴には陶器の経筒(平安時代)の破片が出土していますから、霊場としての歴史は長いと思われますが、磨崖仏自体は室町時代の造顕と考えられています。
磨崖仏を拝む小島には、元々護摩堂という建物があり、川中不動に向けて修行僧が護摩焚きをしていたと考えられています。
福真磨崖仏
真玉・下黒土の川のほとりに見える鳥居をくぐると、19体もの磨崖仏(五智如来・六地蔵・六観音・不動明王・毘沙門天)が彫られた福真磨崖仏が見えてきます。
江戸時代後期に作られた石造の覆屋も珍しく、地元の石工の技術が詰まっています。
日本遺産では一番右に彫られた不動明王の表情の優しさについて触れています。
「ぶんごたかだ文化財ライブラリー」のバックナンバー
「ぶんごたかだ文化財ライブラリー」では、豊後高田市内の文化財をテーマ毎に取り上げて分かりやすく紹介しています。昨年度は第1巻として『豊後高田の城跡』を刊行しています。
ぜひあわせてお読みください。